アピチャッポン・ウィーラセタクン『フォトフォビア』

※動画はNGだけどスティルの撮影はOKとのことだったので、がしがし写真をアップしていきますが、公開は問題がある可能性も!もし、そうであればすぐさま削除しますので、ご連絡ください

さて、京都市立芸術大学が運営を行っているKCUAというギャラリーで、アピチャッポンの展覧会を行っているとの情報を聞きつけ、ヤボ用とかこつけてすぐさま行ってきました『PHOTO PHOBIA(フォトフォビア)』

京都は不慣れなもので、学生時代の友人に案内してもらいつつ、烏丸御池に。
最寄り駅は二条城前駅らしいのですが、周辺の駅ならだいたい歩けそうな距離だった気がします。
会場は二条城のすぐそばにあるので、迷うことは無いかと。

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会場のKCUA
京都風というか、日本家屋的なつくりの建物でクール。

展覧会自体の感想について語る前に、アピチャッポンウィーラセタクンについて、備忘録的に記しておくと…
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日々の感情や出来事を書き留めたメモや占い師によるアドバイスをもとに組まれた簡単なプロットを土台に、それぞれの出演者の実際の生活や対話から生まれた反応、インスピレーションなどを即興的に組み込むことでフィクションとドキュメンタリーを有機的に反響させながら制作している

美術作家としてキャリアをスタートさせ、その延長として映画作品を撮るようになった類の方です。
と、ここまで書いてみたところで「あーあー、ヤマガタで紹介されるようなタイプの監督ね!」と早合点されそうだなあ、という気がしますが(事実ヤマガタでの上映もありましたが…)、決してそのような、いわゆる「政治性」「芸術性」「(自己回帰的な)作品性」ばかりではなくて、よりファンダメンタルに魅力を感じ取れる、アジア的なエモーションばちばちな作品を撮られる監督と思っています。
今ではルイヴィトンとのコミッションワークも行っているくらいなので(つまりはファレルウィリアムスと同格なので)、「なにか芸術的なるもの」の範疇だけに収まらない作家であることはお分かりいただけるかと…
その他の代表的な作品は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した「ブンミおじさんの森」や、ドクメンタ13への出展といったところですかね!
より詳しい情報が知りたい方はこちらのブログで丁寧にまとめられているので、是非ともそちらをチェックしていただければ。

僕自身は、16歳の頃に広島市映像文化ライブラリーで行われていた「アジアの俊英 アピチャッポンとジャ・ジャンクー」特集内の「真昼の不思議な物体」「トロピカル・マラディ」でアピチャッポンを知り、ヤバいぞこれは…と思いつつ、
2011年横浜トリエンナーレ(BankARTでの展示)で、複数スクリーンを設置した空間が及ぼす、見えの違い、映像への影響に感銘を受け、
青山CNAC LABOの展示で、ストーリーテリングのヤバさ、民族について考えさせられる記号表現の可能性(つまりは映画的なるものの魅力)に虜になってしまっていました。
そんな僕が今回の展覧会に足を運ばない理由はなかったんですね。
日本最大級の展示という触れ込みでしたし。
ということで、そろそろ本題の『PHOTO PHOBIA』の感想について書いていきます…(毎度毎度前置きが長い…)

 
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アピチャッポンの個展としては国内最大規模となる同展では、日本初展示の新作を含む約40点を展示。1999年制作の『Windows』から2014年制作の『Fireworks』までの映像作品を中心に、写真などの平面作品も出展される。

とのことで、確かに超豪華。1点1点の作品をゆっくり見ていると、2時間強くらいは時間がかかるかと思います。
アピチャッポンという作家は考察することが、とても難しい作家の1人ということで、
真面目な考察はお偉い先生方にお任せしておいて、会場写真メインの紹介スタイル(投げやりスタイル)を取らせていただきます!
(これができるのが、お金をもらわずに文章を書くすばらしさだな…)

 
1
入ってまず、目に入るポスターにも使用されている写真作品。
フォトアクリルで仕上げられていて、光の表現へのこだわりを思わず感じてしまう。

 
2
その他にも、撮影上で光を意識的に用いた写真作品や、

 
3
小さなプロジェクターで投影されるビデオスケッチが計5点。
「ブンミおじさんの森」を連想させるような静謐な作品が多かった印象です。

 
6
ポスターや、漫画の展示もありました。
漫画は、アピチャッポンに強く影響を受けたというフランスの漫画家フレディー・ネイドルが、「あなたの考えるアピチャッポン作品の本質」というテーマに基づき、制作されたもの。
写真には収めていないのですが“理由もなければ、突拍子もない展開。けれどもそこではそれが当たり前”的世界観の物語で最高。
たしかにアピチャッポンはそこが本質かもしれない。

 
8
この他にも、現在制作進行中のプロジェクトである「Fire Works」(Adobe製品かよ…と思わずにはいられないプロジェクト名!)は、小中千昭のいうファンダメンタルなホラーとも通じるような、無重力的死生観があって素晴らしかった。
光や幽霊のような朧気な生の存在を、いかにして映像にはめこんでいくかという挑戦。
それを土地の歴史、性質(=政治性)と結びつけた映像は、まさしく意味の王国でとてもクール。
そして、6分42秒の中で映し出される映像は、そのどれもがこれまでに見たことのない類のものというのもすさまじい。
アピチャッポンはストーリーテリングをしないことでストーリーを紡ぎ出す天才だと思う。

 
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今回の展示は、展示空間を利用していない/性質上しづらい作品が多かったなか「DILBAR」は唯一、三次元的な作品。この展覧会の白眉。
“優しい心”を意味する名を持つ男“DILBAR”
彼は、ベンガルの建設作業員で、美術館の建設現場で働いている。
都市部のあたたかい冬によって、うとうとしてしまうという設定の彼が、普段働いているであろう光景を映していく映像。
その映像のときどきで、スクリーンを横切る半透明の人間。
自由に現れ、自由に消えていく霊的な存在のDILBARを、実在するDILBARとともに、スクリーンに幾度も登場させることで、自由になりたいけどなれない肉体労働者の精神性を描き出している。
今作では、DILBARという男1人を描いたまでだが、彼を描くことで、そこで働く多くの建設作業員についても同時に想起することのできるダイナミックな構造はさすが。
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展示室に入り込んだ瞬間、目に飛び込んでくる宙づりのスクリーンも素晴らしい。
正面に座って、作品と対峙すると、スクリーンの映像だけでなく、プロジェクターの光までもが、自分自身に刺さってくることもあってか、DILBARで描かれている「もう一人の自分」についても考えさせれる作品。このプロジェクターの光の使い方は興奮した…

 
何はともあれ、カンヌ国際映画祭でパルムドール撮ってるような監督の個展が日本で行われているんですからね!(デヴィッドリンチの個展は毎度話題になるのに、アピチャッポンはそんなに話題を聞かなくて悔しい!なぜリンチのエッチング展示では盛り上がって、アピチャッポンには無反応なのか!正直リンチの平面作品は……じゃないですかね!)
話がそれてしまいましたが、是非とも行っていただきたい!
そして、あの独特の「ゆるい中に鋭さのある」アピチャッポン感を味わっていただきたい!
そして、あのすさまじさについて話し合いたい!
おすすめです!!!


アピチャッポン・ウィーラセタクン
『PHOTOPHOBIA』

2014年6月14日(土)~7月27日(日)
会場:京都府 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
時間:11:00~19:00(最終入場18:45まで)
料金:無料

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