オープングレイヴ 感染

丁寧かつ大胆な演出が売りのシチュエーションスリラー

poster2

71点

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
感染者を凶暴化させるウィルスが蔓延する世界を舞台に、記憶を失った6人の男女の運命を描いたスリラー。死体だらけの穴の中で目覚めた男は記憶をなくしており、自分の名前すらわからない。謎のアジア人女性が投げ入れたロープで穴から脱出した男は、近くに建物があるのを発見する。そこには先ほどのアジア人女性と3人の男、1人の女がいたが、彼らも一様に記憶を失っていた。アジア人女性だけは唯一、何かを知っているようだが、英語を話せずコミュニケーションをとることができない。やがて、森の中にある小さな小屋にたどり着いた彼らは、そこでウィルスに感染した中年女性を発見。謎が深まっていく中、6人は互いへの警戒心を募らせていく。主演は「第9地区」「エリジウム」の個性派俳優シャルト・コプリー。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

Yahoo映画が配信していたiPhoneアプリ「ムビスケ」が終わってしまい、ひどく不便をこうむっていますが、なんとか見逃さずに済みました『オープン・グレイヴ 感染』
しかし「ムビスケ」は(アイコンのデザイン以外は)本当によくできていたiPhoneアプリで、あれのおかげで見逃さずに済んだ映画がアホほどあるんですけどね…
上映中の作品をリストで一覧できて、作品を選択すると上映館のタイムスケジュールが一覧できるという最高の機能…
似たようなアプリ、サービスはないものでしょうか…

スクリーンショット 2014-06-18 12.00.31
21:30開始のレイトショーということもあってか、ヒューマントラストシネマはガラガラ。20人弱くらいの客入りでした…
映画公開先着200人には特製チラシが配られているそうなんですが、公開から4日経った今も当たり前のように配り続けていて興行が大変心配です…
そんなに悪い映画じゃないのにね!!!
むしろ、良心的な映画なのにね!!!


物語はというと、上で紹介している映画.comの引用のとおり「死体だらけの穴の中で目覚めた男は記憶をなくしており、自分の名前すらわからない」ことを中心に展開していくもの。
それが何故なのか、それに原因はあるのか、ということが“ココハドコ? ワタシハダレ?”状態を解明するために、右往左往していくさまを緊張感ビンビンで描いていくんですね。
目覚めると、自分が誰なのか、なんという名前なのかもわからない男女5名。3人の男と1人の女はみんな英語を話すことができるものの、残りの1人の中国人女性はどうやら何かを知っているらしく、しつこく紙に文字を書き連ねるているが、英語を理解できず、コミニュケーションを取ることが全くできない。
「いやはや困った。とりあえずこの状況を脱しなければ。」と、家を見回り、武器を確保する5人。見回りを家の外にまで広げてみると、鉄条網で木にくくりつけられた死体や、木にぶら下げられた死体など(さながら『ヒューマン・キャッチャー』のような)とにかくヤバい状況であることをどんどん理解していく。
各々失っていた記憶が断片的に取り戻されていったり、家から怪しいアイテムが発見されたり。この状況を作り出した人間は5人の中にいるんじゃないかと、みんなは疑心暗鬼になっていき…最終的にはその原因が判明し、また新たに…というような話の流れです。
その原因(映画のラスト20分くらいで明らかになる)も書いておこうとも思ったんですが『シックスセンス』クラスの“やってしまってはいけない”ネタバレだと思い至ったので、ここでは割愛(勘の良い人はファーストシーンを見た段階でラストシーンが想像できるでしょうけど…クラシックなスタイルではある)。


よかったところ
○演出、構成の巧みさ
open_sub2_large
学生時代、内田けんじ監督のワークショップに参加したことがあるのですが、そこで監督が言っていた言葉で、頭に残っているものが「物語の先が想像できてしまうことが悪いんじゃなくて、スクリーンを注視させられずに先を想像させてしまう現在の演出が悪い」というものなんですが、今作は逆の意味でまさしくそれ。
振り返って考えてみると、原因自体も大したことではないですし、「こいつは実は良い奴だろうな」「彼女がキーキャラクターだから、ラストでまたスポットライトを浴びるんやろ」などなど、先読みすることもできるプロット。
にも関わらず、物語の展開の早さ、緊張感の持続で、全く気にさせない。
このテーマで100分を越える作品をしっかりと観せることのできる、演出手腕には思わずびがっ!
open_sub5_large
ラストシーンで空撮風に映される死体の山という絶景も最高!

よくなかったところ
○ご都合主義がすぎる設定
open_sub3_large
鉄条網にくくりつけられていた感染者は、人間に対して狡猾なトラップを仕掛けてくる(思考能力がある)。
かと思えば、別の感染者はただひたすら頭を柱にぶつけるだけであったり、そのウイルスのありようは全くもって謎。
だとか、
軍と呼ばれていた集団は一体何者なのかさっぱりわからないけど、銃で民間人を殺める。民間人救出の必要が無いんだったら、爆弾でも落とした方が手っ取り早いでしょうに。(もしかして彼らはサバゲーをしていたのか?!)
だとか、
言い出したらキリが無いレベルで、謎が盛り沢山です。まあ、謎をああだこうだ考えながらくっちゃべる楽しさは間違いなくあると思うので、これらのことは大した問題じゃないんですよ………
そんなことより!いくら中国人だからって一切英語を理解できないというのは無理やりな設定じゃないですかね!荒唐無稽すぎるよ!


とまあ、いつもに比べてあっさりとした感想ですけど、こんなもんで十分でしょう!
悪い作品では無いし、映画を観ている間は緊張感ビンビンで楽しめる、けど、けど強く残る想いとか、感情はそんなに無い、というかなんというか。
こう書いていると、ディスっているように思われるかもしれませんが、決してそういうつもりはないことも事実!
ただ、すごいあっさりしてるんだよなー…楽しいんだけれども!

ラストについての明言は避けますが、なんとも『ミスト』的というか、今後いわゆる“胸糞系”映画にカテゴライズされていくような気がする…
けど、それほどでもないですし、なんなら希望的とも取れる、観客によって感想の違ってくる美しいラストだと、私は思っております!
いやー、しかし『ミッション8ミニッツ』的な終盤の大展開はアガった。
おすすめです!

広告