ザ・ベイ

トンデモ映画と思いきや……

ピクチャ 1

67点

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「レインマン」のバリー・レビンソン監督が、「パラノーマル・アクティビティ」の製作チームとタッグを組んで描いた感染パニックスリラー。メリーランド州チェサピーク湾の海辺の町クラリッジ。ある日、2人の生物学者が湾の海水に高濃度の毒性があるのを発見し、市長に警告する。しかしパニックや風評被害を恐れた市長はそれを無視してしまう。そして7月4日の独立記念日。町がお祭りムードに沸くなか、チェサピーク湾に疫病が発生。人々は突然変異した寄生虫によって次々と肉体をむしばまれ、町は地獄絵図と化す。出演は「アルゴ」のクリストファー・デナム、「キャビン」のクリステン・コノリー。
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あまり足を運べていないカリコレですが、これだけはチェックしておかなけければ!ということで観てきましたよ『ザ・ベイ』
公開初日ということもあってか、ほぼほぼ満席の中の鑑賞。
シネマカリテは休日となると、9割方満席になるイメージありますねー、新宿駅に近いからですかね。

さてさて『ザ・ベイ』の話。
ストーリーは、うえで紹介している内容をファウンドフッテージ+その日その場で事件現場をリポートしていた女性が当時の事件を思い出しながら語ることで展開していくスタイル。
いつもはこのあたりでストーリーの流れを記すスタイルをとっていますが、今作に関してはホラーSHOX[呪]さんが既に記事をアップしておりますし、とてもわかりやすく書かれているので、そちらをご参照いただけますと…(怠慢!)

予告編がよくかかっていて、これはチェックしておかなければと思っていたのですが、その段階では『サプライズ』だとか『V/H/S ネクストレベル』などを期待していたのですが、ちょっとdigってみたところ、監督はなんと『レインマン』や『スリーパーズ』でおなじみのバリー・レヴィンソン!
こんな真っ当な監督がどんな具合にファウンドフッテージを撮るんやろうな…と思っていたのですが、なかなか、というかさすがというか、楽しい作品でした!
 
 
よかったところ
○既視感の無い新たなファウンドフッテージスタイル
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ファウンドフッテージものが良作になるか否か、最も重要な条件のひとつがいかにリアリティを保てるか。つまり、そこで描かれている怖さが、いかに観客にとって現実味を伴って感じられるかだと思うのですが、今作はその現場に居合わせた1人の女を語り部に据え、彼女に当時の惨状をまとめたファウンドフッテージを見せることで、確実に新しいスタイルを確立していた。
新しさは正義!

○特殊効果の質の高さ
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そして、その現実味に伴った表現を援護射撃するかのように、来るのが容赦ない生理的嫌悪を誘う特殊効果。R15のくせして、かなりキツい感じでしたね…
発疹は自分に起こる可能性があるからか、変にリアリティがあって、首チョンパなんかよりよっぽど嫌でした…
ちなみに特殊効果は『デイ・アフター・トゥモロー』『300』『アバター』などで知られるHYDRAULXが担当。さすがです…

よくなかったところ
×これが最悪や!という点はパッと思いつかないものの、全体的にこじんまりとまとまっている印象
それには2点ほど理由があって
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ひとつは、こういったホラーとして受け取られかねない映画で、露骨に現実世界におけるある問題について警鐘を促すと、落とし所は否応無く現実に根ざしたものになってしまって(今作だと地方自治体の経済拡張と、それにかかる隠蔽工作)、ショッキング度が薄れてしまうところ。
そして、観客の記憶に残るショッキングなシーンはゴア描写があったところになるため、作り手側の意図よりも、そのショッキングシーンに気が回ってしまう。
つまり、オチのインパクトが、作り手側の意図を伝えるために用意されたゴア描写(物語への関心を引くためのマクガフィン)に負けてしまうという本末転倒な構成。
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もうひとつは、物語のエンジンである語り部役の女リポーターの周りで直接的な被害が出ていないため、真に迫った環境問題の怖さが感じられない。
(カメラマンは死んでしまいましたが、彼女自身はあれ以来報道活動ができていないというだけの被害。
はじめにあったインタビューシーンで、差し出された水を怪訝に断って、自分で持ってきた水を飲む。くらいのシーンを入れたら、より彼女の被害が感じられ「たしかに現実でこんなこと経験したら、そうなるわな…いやいや僕がいま飲んでる水もどこから来てるもんなん?」という、監督の伝えたい要素はブラッシュアップされていたと思う)
 
 
そうであるからして、鑑賞後の感想としては「現実に対する警鐘なんやろうけど、結局はホラーが見せたかったの?どういうこと?どこを楽しんだらいいの?」という気持ちが抱かれやすい作品かなー、とも。
やっぱり、現実に警鐘を鳴らしたいなら、もう少し暗喩で表現するべきじゃないかなー、じゃないと現実に迫る怖さがない!
その比喩に気づいた時に「あーなるほど、そういうことか、こっわ!」と思えるような作品が僕の好みというだけですかね。「ゴジラ対ヘドラ」なんかは、そのあたりがとても良くできてて、とても大好きな作品です。

ああだこうだ言うておりますが、こねくりまわして考えず、普通に観てればそこそこ楽しい映画なことは間違いない!ということで、おすすめ!
ちなみにバリー・レヴィンソンは、これからもアルパチーノ主演、フィリップロス原作の『The Humbling』、そしてビル・マーレイとブルースウィリスが共演する『Rock the Kasbah』など期待作の公開が目白押しですな……

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