魔女の宅急便

poster2

あの怒濤の展開をカルトと呼ばずしてなんと言う!

62点

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
宮崎駿監督によるアニメーション映画版が広く親しまれている角野栄子の児童文学「魔女の宅急便」を実写映画化。13歳になった魔女の血を引く少女キキは、掟に従い、一人前の魔女になるため修行の旅に出る。黒猫ジジと一緒にほうきに乗って旅立った彼女は、やがてたどり着いた海辺の町コリコで、パン屋のおソノのもとに居候することに。そこで空飛ぶお届けもの屋「魔女の宅急便」を始めたキキだったが……。主演はオーディションで選出された新人女優の小芝風花。「呪怨」シリーズや「ラビット・ホラー3D」など数々の恐怖映画を送り出してきた清水崇監督が、児童文学の映画化に挑戦。脚本に「おおかみこどもの雨と雪」の奥寺佐渡子。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

観てきました『魔女の宅急便』。
劇場は渋谷TOEI。
映画の日+上映初日ということもあってか、子供連れを中心ににぎわっていながらも、観客の入りは8割程度。最高の条件での封切りにも関わらず、これはどうなのよ…
しかも「興行よけりゃ次回作ありそうやな…」と思わせるラストショットだったので、興行成績が心配です…もしも、続編があったら観に行くのに!

51B9B4TNRVL
さて、今作について感想を記したり、なんだりとする前に、まずはこの映画に設定された異常なハードルの高さについて書いておこうと思います。
今作の原作にあたる角野栄子氏による児童小説は、第23回野間児童文芸賞、第34回小学館文学賞、IBBYオーナリスト文学賞をはじめとするさまざまな文学賞を受賞した児童小説の金字塔。
スタジオジブリによるアニメは、となりのトトロの3倍の配給収入21.5億円をたたき出したアニメ映画の至極の1本。
それだけに留まらず、舞台化までされているらしく。
この映画に対してのハードルの高さ(過去作のファンからの冷ややかな目をふくめた)は半端なものではないはず。
まずは、そんな作品の監督を引き受けた清水崇監督にビガッ!ですよ。
僕はアニメ版もしっかりと見た事はなければ(いやTV放送で横目にみていたことはあるんですよ…)、原作も舞台も見ていない『魔女宅弱者』なので、なんの期待も持たず見てきましたけどね!

さて、物語の流れとしましては、こちらのブログを拝見する限り、原作小説にのっとったかたちのようで、アニメ版『魔女の宅急便』とは趣を異にしたもの。
——
「この物語は魔女の存在が信じられている東洋のある町での物語です」という字幕からスタート。

キキの誕生シーン、家族との心あたたまる系エピソード。
12歳になったキキは一人前の魔女になるために1年間親元を離れ、修行に出ることに。

雰囲気のいい町を見つけ、そこで修行しようとするも、すぐに宿が見つかるはずもなく、動物園で1夜を過ごす。

翌朝、動物園に忍び込んでいることを飼育員に見つかったキキ。自分が魔女で修行中の身で宿がないことを弁明するも、魔女ということを知った飼育員はさらに激高し、キキを追い払う。

お腹がすいたキキは、高台にたたずむパン屋へ。そこのオーナー夫婦に出会い、宿をお世話になることに。キキはそこでお届けもの屋さんの仕事をすることに。

魔女が珍しい町なだけに、キキ(魔女)の存在は面白いもの。自作飛行機をつくっている少年とんぼに、ただ飛行している姿が見たいというだけで配達を依頼され、キキは憤慨。

そうこうしつつも、仕事を続けているキキ。今度は洗濯屋さんから、壊れた乾燥機の修理を依頼される。しかし空を飛ぶ魔法しか使えないキキ。ただし、洗濯物のお渡し日時が迫っていることもあり、洗濯屋の奥さんは焦る。そこで、キキにロープの端っこを持ってもらい、そのロープに洗濯物を引っかけ、空を飛び回って、乾かしてもらうことに。
その美しい洗濯物干しを見ていた町の住人から続々と仕事が舞い込み、活き活きと仕事をこなすキキ。

キキ、とんぼの兄弟に箒を奪われてしまう。追いかけ回し、なんとか箒を取り返す。そこで、とんぼが自作飛行機をつくっている姿を見る。とんぼの兄弟に箒を盗まれたこともあり、むかむかしていたキキは、空を飛びたくても飛べないとんぼに嫌みを言う。

相変わらず、パン屋の夫婦と仲良く仕事を続けるキキ。お父さんの大好きな歌手であり、ふたりの出会いのきっかけにもなったタカミカラという歌手が、全然活動をしなくなっているから不安に思っているお父さん。自慢のパンをキキに届けてもらうことに。

タカミカラ家に行くキキ。タカミカラは、魔女だった妹の死以降歌えなくなったことを聞き、お父さんを元気づけられなかったことを悔やみつつ、帰宅するキキ。

そんな中、1人の少女から手紙を届けてもらうよう依頼されるキキ。
指定された場所に行き、その荷物を受け渡そうとすると、気味悪がられ「呪いの手紙よ!!!」と叫ばれ、結局受けとってもらえず。周りの人たちもキキを気味悪がる。
その旨を依頼主の少女に伝えると「あの子たちから陰口をたたかれていて、その仕返しに、これから呪いの手紙が届くからと伝えていた」と事の真相を聞かされる。

悪事千里を走る。キキは呪いを届ける魔女だという風説が島中に勘違いされ、これまでキキから喜々として荷物を受け取っていた人たちがキキに荷物を返却しまくる。

落ち込み、落ち込み、落ち込みまくるキキ。

そんなキキを励まそうと、パン屋のお母さんは自分の配達を頼む。

しかし、何故かうまく飛ぶことのできないキキ。森の中に墜落し、愛用の箒をまっぷたつに折ってしまう。この一件以降キキは飛べない少女になってしまう…

唯一使う事のできる魔法だった空を飛ぶことしかできなくなってしまったキキは、さらに落ち込み、落ち込み、落ち込み、魔女になることをやめようとする。

そんな中、とんぼが自作飛行機での飛行にチャレンジしている現場を目撃するキキ。しかし、とんぼはあっけなく墜落してしまう。そんなとんぼのもとに駆け寄り、お母さんの作ってくれた薬を傷口に塗り込み、その場を去る。(この現場にキキは箒を置き忘れてきてしまう)

とんぼがキキの箒を直し、パン屋に届けにくる。一緒に昼ご飯を食べる事に。
だんだんと心を通わせていく2人。魔女をやめようと思っているキキはとんぼに悩みを打ち明ける。
↓(ちょっと忘れてしまいました…)
色々とあり、最初に宿を借りていた動物園のカバがひん死状態となっていて、隣の島の獣医までなる早で届けなければいけないことに。

その事実を動物園の園長からの依頼で知ったキキ&とんぼ。嵐の中カバを隣の島まで運ぶ事に。

キキ、ついに飛べる様に復活!
しかし、カバととんぼを吊るしての嵐の中の飛行は困難を極め、気を失いかける。
そこで聞こえてきたタカミカラの歌声。なんと、ラジオでキキがカバを運んでいることを知ったタカミカラが岬?に立ち、歌っていたのだ!!!
その歌声は、はるか遠くに居るはずのキキのもとまで届く、届く!!!
暗く黒く広がっていた空も明るく晴れ渡る!!!

なんとか、隣の島にたどりついたキキととんぼ。カバも無事完治し、島へ戻ると、キキの奮闘をラジオで聞いていた住民からの祝福。

「あたし、この島に来てほんとによかった!」というキキの一言で映画はしめっ!
——
という話です。
 
 
よかったところ
○キャスティングよし
002l
なんといってもキキ役の小芝風花さん。
koshibafuuka
元はこんな感じの少女だったのに、まあ映画ではキキにしか見えない快活さとドジッ子感。
sub08_large
他にもとんぼ役の広田亮平さんも朴訥とした雰囲気で良かった。
あ、瀬戸内海の美しい(懐かしい)風景もよかっっっっったです。

○時折ある映画的に美しいシーン
ピクチャ 1
キキの飛行で洗濯物を乾かすシーン。美しくてアガった。

○さながら「元気玉」展開のカオスな3幕
ピクチャ 4
上にもストーリーを記していますが、3幕は飛べなくなっていたキキが飛べるようになり、嵐、雷半端じゃない中、ひん死のカバを隣の島に運ぶというものなのですが、
頑張っているキキと、キキを応援する島民たちの様子を交互にカットを転換。島民の応援シーンが入るごとに、キキは困難を切り抜けるという超メタ展開!!!
mother26
思わず、ドラゴンボールの元気玉、そしてマザーの“いのる”を思い出しましたよ…
そして、極めつけはキキが「あなたの歌、もう一度聞きたい」と伝えていた歌手(妹の魔女の事故以来歌が歌えなくなっていた)による、頑張っているキキに向けての熱唱!!!
えらい遠いところに居るはずのキキのもとに、その歌は届く!届く!
なんと、雷にうたれたはずのキキは一瞬で意識を取り戻す!!!
このカオスな展開だけでおなかいっぱいだったのですが、そこで手を緩めないのが実写版『魔女の宅急便』!!!
最後の危機を乗り越えた瞬間、黒々とした空が一転、青空に包まれるのです!!!
こういうわかりやすすぎる映画的演出、大好きです!!!
ちなみにその歌手はLL Cool Jとの協同製作でおなじみのRUMI!
このキャスティングも半端じゃない!

よくなかったところ
×安すぎるCG
ピクチャ 2
この映画の一番よくないところ。
皆さんご存知黒猫のジジは全編にわたってCGなんですが、動きも不自然でまあなんとも言い表し難い雑CGクオリティ。
カバCGに関しては、実写も混ぜていたからなのかそこそこのでき。
『魔女の宅急便』の中核を担うキャラクターはジジでしょ!!!
どっちに金をかけるかは明確でしょう!!!
あとやっぱり実写の中で猫がしゃべったりすると、ちょっとぎょっとしちゃいますね。

×日本映画らしいセリフによる説明
感情をセリフにそのままのせるのは、いい加減やめませんかね…
そういう演出が入る度に、膝かっくんされたような気分に…
あ、整合性のとれないしシーンで言うと、呪いの手紙を依頼してきた少女に対し、一切怒らないどころか、友達になりたい的なセリフを告げるところは、わけがわからんかったですねえ。
 
 
ピクチャ 3
このシーンの長回しもとてもよかった…
とか考えながら主演の小芝さんのインタビューを読んだところ、清水監督も「ホラーの清水崇」というイメージを乗り越える作品という位置づけで、今作にチャレンジしていたようですね。
あのCGさえどうにかなっていれば、作品としてもっと評価されていただろうなあと感じるだけにそこは残念。
ただし、サムライミと仕事をしたこともある清水崇の新作、しかもその題材が『魔女の宅急便』なわけですから!おすすめ!
そういえば、小さい子供が一切騒がずに映画に集中していた姿を見る限り、みんな映画に夢中になっていたんじゃないかな、と思います。
お子さんがいらっしゃる方、ぜひ!
原作が原作だけに、当たり前なのですが「いい話」ですよ!!!
人は誰でも一つは魔法を持っているものなのだ!!!

広告