フィンランド式残酷ショッピングツアー

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81点

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旅先で食人族に襲われる観光客たちの恐怖を描いたスプラッターホラー。ショッピングツアーで隣国フィンランドへやって来たロシア人の母と息子。暇を持て余した息子は、スマートフォンのカメラで周囲を撮影している。やがて大型ショッピングモールに到着したツアー客たちが買い物を楽しんでいると、なぜか店のシャッターが閉められてしまう。突然の出来事に戸惑うツアー客たちを、店員や現地住民たちが次々と襲い、貪り食いはじめる。
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今日も今日とてヒューマントラスト。
ここのところ、ヒューマントラスト系列の映画館ばかり行っている気がする。
未体験ゾーンの映画たち2014をやっているからというのも理由のひとつではあるのですが、TCGメンバーズカードの存在もその大きな理由だったりします。なんてったって入会費の1000円さえ払えば、いつでも1,300円+火・金曜日は1,000円で観ることができるわけですからね!全員つくるべきなのですよ!

やけに中高生で賑わっていたので「未体験ゾーンで演ってるホラー作品はレイティングで観れないけど『フィンランド式残酷ショッピングツアー』はレイティングGだし、怖いもの見たさで来たのか!なるほど!素敵!」と思っていたのですが、観客席には若年層は少なく。
どうやら『TIGER&BUNNY』を観にきていたようです。
ところで、Twitterでフォローしている映画好き女子高生が「18禁の作品って年齢ごまかして観れないのかなー…」とつぶやいていたんですが、レイティングに関して年齢確認をまともにしている劇場なんてあるんですかね。少なくとも5,6年前の広島では一切なかったなあ、と思いながら、観てきたのが『フィンランド式残酷ショッピングツアー』ですよ!(前置きが長い!

皮肉精神から生み出された不条理コメディ!!!

えー、感想を書き始める前に記しておくと、POVです。
子供が、お母さんに買ってもらった携帯電話でフィンランドへの旅の行程を映画風に記録すべく、撮影しているという設定でのPOV。
数多いるPOV嫌いの方、酔いやすい方はご注意を。
 
 
よかったところ
○全編にわたって滲み出る皮肉感
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ロシアの旅行会社が企画したショッピングツアーに参加している親子。
案内された「ショッピングモール」で買い物をしていると、不審な血痕(初期ロメロっぽい血糊)、出入り口を封鎖する従業員、死体、そしてフィンランド人が「人肉をむさぼっている」姿を目撃してしまう。
という2幕の始まりは、明らかにゾンビというジャンルを意識した状況設定。
そのショッピングモールを命からがら脱出する事に成功した親子は、助けを求めてフィンランドを放浪していると、ガソリンスタンドの店員に襲われてしまって首もとを噛まれてしまったお母さんは息子に対して「あなたを噛んでしまいそうだから」と。
その後、この親子はたまたま警察署を見つけ、警察に助けを求めるもののなぜか捕まえられ収監されてしまう。
混乱する親子だったが、隣の房に監禁されている男から「フィンランドでは夏至の翌日に外国人を喰わないといけない。これから逃れるには2つの手段がある。1つは日没を迎えること、もう1つはフィンランド人を喰うこと。俺は今までフィンランド人の嫁にかくまってもらっていたけど、嫁が死んでしまってとうとう捕まっちまった」と聞かされ、ようやく意味不明な事態のヤバさを飲み込む…と。
こう、あまりにも唐突かつ、突飛かつ、ご都合主義な設定説明セリフに映画館は爆笑!
明らかにゾンビを意識させておきながらも、実は全然そうじゃない!という皮肉感(フィンランドの夏至翌日となると白夜…という面倒くさいギャグもちりばめられています)

そして、ロシア人はフィンランドへと向かう際「フィンランド人はロシア人と違って教養のある人たちだから」と言ってみたり、「フィンランドみたいな社会保障水準の高い国が…」と言ってみたり、自虐褒め。しかし実際のフィンランドは食人で溢れかえっているという自虐。これをロシアとフィンランドの合作で作っているというのは、まさしく実際のロシアとフィンランドの外交の危うさへの皮肉感

この皮肉尽くしによって凡百のコメディ作品との違いをつくりだしているなあ、と。

○臓物むしゃむしゃゴア描写
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あくまでレイティングGにしては。という前提ですがゴア描写よかったです。
直接残酷描写を映すことは無いのですが、あちらこちらにもげた腕は転がっていますし、新作映画で久々に臓物をむさぼるシーンが観れた気がしますし、それだけでも得した気分に。

よくなかったところ
×だらだらとした展開
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いや POVである以上、序盤のテンポの悪さはしょうがないものだと思っていますが、70分の映画の半分ほどがショッピングモールに向かっている最中の親子の喧嘩シーンというのはなんとも…
 
 
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ラストシーンは、日没を待つため隠れていた親子のもとにフィンランド人の女の子が寄ってきて「フィンランド人?外国人?」と聞いてくる→まごまごしている親子を見て外国人じゃないと知るやいなや、お母さんの足に噛み付いてくる→(暗転)→服の一部が血で汚れ、絶望した顔の親子を正面から映す→そのままカメラは引いて行く→すると声をかけてきた少女が倒れている
という流れ。
少女を食べることで、フィンランド人から襲われなくなったけど、食人をしてしまったことに絶望している親子。そして、その様子を記録するフィンランド人ということですかね。
この「あ、これで終わり?!」感はとても気持ちよかったです。

いやー素晴らしい映画でしたよ!
今のところ見てきた未体験ゾーンの映画たち2014作品(『スリーデイズ・ボディ』『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2』『ザ ハリウッド』『ガンズ・アンド・ギャンブラー』)の中ではベスト!おすすめです!

ちなみに今作は11日間、70000ドルの製作費で撮られているそうです。
これは今後のミハイル・ブラシンスキー監督に期待を抱かざるをえない!

不勉強でロシアとフィンランドの関係について知らなかったのですが、フィンランド通信の記事によると、
・戦争によって、国土の一部を割譲した歴史もあり、特にフィンランド東部ではロシアに対しての感情がよくない
・しかし、近年のロシアの経済発展を受け、結びつきは強くなっている。(ロシアからの観光客がやってきて、普通のフィンランド人が買わないような高価な買い物をしたり、ロシアで材料を安く調達して、フィンランドで加工して売ったり。)
・それもあり、近年はフィンランドでもロシア語教育に力が入ってきている
という背景がありつつ、この2つの国は

フィンランド人はとても現実的。ロシア人はパーティーや美しいものが好き。フィンランド人はロシア人女性が冬でも高いヒールを履いて、お化粧をばっちりしているのを見て、こんな雪道であんなヒールを履くのはばかげているとか、化粧が濃いとか言っています。ロシア人はフィンランド人が冬になるとスキーウエアでお店とか、レストランに行ってしまうのを見て、顔をしかめています。ロシア料理に比べて手のかからない家庭料理が多いフィンランド料理を見て、落胆しています。
こうして、時々お互いを愚痴りながらも、フィンランドとフィンランド在住のロシア人はなんとか違いと憎悪を乗り越えて、友好な関係を築こうとしています。

という状況だそうです。なんともいい話ですね。
関係の実情がどうかはわかりませんが、それを想像できる自虐っぷりも『フィンランド式残酷ショッピングツアー』からは溢れ出ていて、すばらしかった!
北欧雑貨好きなおしゃれな方にも!おすすめです!(前半はだれるけど!

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